トーチ

2020年3月23日 月曜日

こんな暗い話が書きたかったわけじゃないのに

こんばんは、信藤です。先日、20年以上ぶりに母方の従兄弟と再会しました。向こうは私の1つ年上で、今年30歳の美容師。まっっっったく違う文化圏で生きてきたので、最初は彼が発する単語(「あーね」「それな」「ぴえ〜ん」etc)に面食らったりもしましたが、結果的にめちゃくちゃ楽しい時間を過ごしました。不謹慎すぎて他人には言えない親戚ギャグが、思いっきり話せる心地よさ…。お互いの複雑な家庭内での立場と経験に理解を示し、共感し、かつ笑い話にもできる人間って、初めてかもしれない。

最近よく思うのです。友人であれ恋人であれ、人間関係で大事なのは、相手の家族関係に安易に口を出さないことなのではないでしょうか。もちろん相手が悩みを相談してきたり、これってどうなのかな…と意見を求めてきた場合などはいいと思うんですけど。しかし思い返してみると、歴代の彼ピや男友達(ex)たちに感じていた違和感の正体は、お互いの「家族観」なのかもしれない…。

私は物心ついた時から朝・昼は自分で適当に用意して、食欲がなければ何も食べずに学校に行っていました。両親が共働きだったこともありますが、こいつはカップラーメンとかお菓子ばっかり食べたりしないから大丈夫という信頼を得ていたからでもあると思います。私はこの自由な生活を気に入っていました。
しかしこの思い出話をしたときの、ボーイズたちの拒否反応ぶり…忘れられません。

「えっ…お母さん、朝ごはん作ってくれなかったの…!?」
「かわいそう…」
「親としてどうかと思う」

きっと悪気はないんですよね、みんな。ウフフッ。
ワンハンドレッドサウザン歩譲ってそう思うことにしていますが、その後にワンハンドレッドミリオンパーセントの確率で家族自慢話になるんですよね。俺の母親および家族、そして地元がいかに素晴らしく、いかに自然が美しいかを語り尽くしたあと、「のぶちゃん、俺の母ちゃんとぜったい気があうよ!母ちゃんめっちゃいいやつだから!」なんの疑いも無くそう断言した東京・神奈川・千葉・大阪・島根・愛知・長野・新潟・北海道のみんな〜〜!元気ぃ〜〜〜!!!??

昔同棲していた彼ピ(長野)は、どこかで私に同情していたように思います。
親から朝ごはんを作ってもらえなかった、可哀想な子。
彼ピ(長野)はよく、自分の分と一緒に私の朝ごはんを作ってくれたんですけど…ほんと正直言うと…めちゃくちゃ苦痛でしかなかった。全然食べたいと思っていない時に、全然食べたいと思わないものを出されるって、なんか刑務所みたいだなぁと。

去年末に仲良くしていた元同級生(大阪)から「なんでお正月実家に帰らないの?絶対帰ったほうがいいでしょ、だって家族なんだよ?」と言われた時、ほのかに芽生えかけていた恋心は見事に雲散霧消し、心のシャッターは地中深く埋まってガッチガチに溶接されてしまいました。もう、二度と開く気がしない。

家族ってさ、いろんな形があって、それぞれ適切な距離感があるから…これがうちの正解なんだよ。
そう伝える元気も無く、ただただ力なく酒と煙草を呑むばかりなのであった…。 〜完〜
(編集部・信藤)