行けたら行きます 13

 一週間ほど入院し、先日退院しました。病気で初めての入院でしたが、病院が綺麗なこともあり、とても快適でした。上げ膳据え膳なんていつぶりでしょうか。救急車で運ばれてから退院まで、本当に一瞬に感じたのが不思議で仕方ありません。

 ちょうど石田さんの退院とわたしの入院が入れ違いだったので子供達はどうにかなったのですが、それでも近所のママ友たちが心配して、子供達を預けあおうという話も出ていたようです。それを石田さんに言ったものの、全部断ったとのこと。石田さんも体力は落ちてはいますが、子供達が大きくなったこともあり、家のことは3人でもなんとか回るようです。スーパーで買ってきた出来合いのものばかり食べさせていたようですが、それもたまにはいいでしょう。それでもわたしが退院して一番にやったことは、家の掃除と片付けでした。
 石田さんと同じ病院に入院したのですが、石田さんの主治医の先生がわざわざ私の退院直前に石田さんの病状を説明しに来てくれました。転移した箇所に抗がん剤がてきめんに効いているとのこと。もう転移して何度目の抗がん剤治療か忘れましたが、これが効かなかったら秋には厳しかっただろうということを聞かされました。

 私が入院した一週間で、すっかり季節は変わってしまっていました。

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《著者プロフィール》
植本一子(うえもといちこ)
1984年広島県生まれ。
2003年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞、写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活躍中。
著書に『働けECD―わたしの育児混沌記』(ミュージック・マガジン)、『かなわない』(タバブックス)、『家族最後の日』(太田出版)がある。
『文藝』(河出書房新社)にて「24時間365日」を連載中。
http://ichikouemoto.com/