原宿さん(オモコロ編集長)推薦コメント

どういう作品なんでしょう? 難しい。最近よく聞く“言語化”っていうフレーズは別に万能でもない気がしていて、この漫画の良さをわざわざ言葉にしようとするのは野暮だとも思うし、ただ一方でこれを読んで稲妻に打たれたような衝撃を感じる人は、確実にもっといるはずという確信もある。自分と同じ稲妻に打たれる人をひとりでも増やしたいという一心で、必死の思いでオススメしたいです。

えー、何でしょう、まず登場人物たちは、現実というそれはもう惨めな場所でおおいにブチのめされ、軽んじられ、「ならやってやんぞ」と開き直り、色んな種類の絶望を感じているわけですが、そのやられちまったことと、やられちまったことがもたらす感情自体が、途方もなく大きい世界の広がりに繋がっているような気がするんです。それで違う世界の打ちのめされモン同士が、「俺はさ、俺なりにさ、この現実って野郎ともうちっとだけ戦ってみるよ」とファイティングポーズをとったなら、それを俺たちは時代や場所も関係なく、お互いに感じることができるのでは?というような感慨が、自分の背骨やケツ辺りを突き抜けていった……ように思います。全て僕の勘違いかもしれないので、気になる人は読んでみてください。時間を置いてニ回目、三回目と読むと、感じ取れるものが全く違っていることに驚きます。傑作です。

お知らせ

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    【この「奈良へ」という作品を読んでまず思ったのは、これは途轍もない傑作だ、ということで、私は読後、暫くの間、虚脱していた。(町田康)】

    古都・奈良。三つの世界遺産を擁する日本を代表する観光地。

    売れない漫画家、マイルドヤンキー、パンクス、やる気のない野球部員、冒険のパーティーからそこはかとなくハブられている航海士、街頭で奈良の崩壊を訴える謎の男……名所旧跡で繰り広げられる若者たちの群像劇は、やがて人間の業を深々とえぐり出し、世界の虚を暴き出す衝撃の展開へーー

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