私たちは、冬になれば夏の暑さなんて全部忘れてしまう生き物だ。
白く降り積もる雪が、全てを覆い隠してしまう前に。
次の夏が、この雪を残らず融かしてしまうより先に。
そしていつか、いくつもの傷跡さえ笑い話のひとつになって
やがて何もかも全部、忘れてしまう日のために。
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同人作品が高い評価を受けコミティア期待の新鋭と称されながら、商業媒体では原作付き単行本を一冊遺したまま作家業を廃業していた”消えた漫画家・見富拓哉”。
5年弱の空白と10余年先の余白に描く、待望/会心の商業”一時”復帰作。
傷跡の痛みを忘れてしまった全ての”私たち”と、
傷つくことを未だ恐れている全ての”私たち”へ。
この先もきっと、ずっと未完成のままであり続ける私たちのための、新しい祈りの形と、その足元を照らし出す色褪せない物語。
見富拓哉(みとみたくや)
1986年 神奈川生まれ・東京都杉並区在住。
2008年よりサークル「彼岸泥棒」名義で同人誌即売会コミティアを中心に作品を発表。2010年、小学館「月刊IKKI」新人賞受賞作で商業誌デビュー。ポップバンド「スカート」へのアートワーク提供など、イラストレーターとしても多数活動。2012年、「月刊IKKI」誌上で連載された『人類は衰退しました~のんびりした報告~(原作:田中ロミオ)』が刊行された。2014年以降は同人誌即売会に再び活動の場を移し、サークル「けむりとほこり」名義で作品を多数発表している。
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