聖なる秘宝を求めて……血脈と宿命のサーガ
富永電(あきら)は地元・天草の地金買取「天竺トレーディング」で働く29歳。
母は早逝し、ギャンブル依存の父と二人で暮らしている。
彼には幼少期から繰り返し見る夢がある。
曇天の海、死人のような影、仄暗い地下トンネル……
不穏な夢と虚しい現実をもてあまし、未来を諦めかけた彼を追いつめるように、ある日、父が多額の借金を残して失踪し……
第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞作家・高浜寛が描きだす血脈と宿命の一大叙事詩。
高浜 寛(Kan Takahama)
熊本県天草生まれ。筑波大学卒。『イエローバックス』でアメリカ「TheComics Journal」誌「2004年ベスト・オブ・ショートストーリー」受賞。海外での評価も極めて高く、著作の多くがフランス語訳されている。各国の著名なBD作家らと共に「カルティエ」の商品ブックレットに作品を寄せており、『蝶のみちゆき』は谷口ジローとペータース&スクイテンが絶賛した。『ニュクスの角灯』で「第24回手塚治虫文化賞 マンガ大賞」および「第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞」受賞。同作はフランスの全国の中学校教員による推薦図書にも選出されている。また、フランス文学の不朽の名作を世界で初めて漫画化した『愛人 ラマン』が日仏伊独4カ国で同時刊行されるなど、国内外からますます注目が集まっている。