戦後80年特別企画
沖縄を代表する劇画家・新里堅進は、1978年『沖縄決戦』でデビュー以降、沖縄戦をはじめ沖縄の歴史・文物を描き続けてきた。
日本漫画家協会賞優秀賞を受けた『ハブ捕り』(琉球新報社、1982。のち改稿し新潮社より1991年)など数作が本土で刊行されたのみで、その50年の画業のほとんどを「沖縄で、沖縄を描く」ことに捧げてきた。
戦後80年。いまだ世界では戦争の惨禍やまぬ中、戦後生まれのひとりの人間が取り憑かれたように描き続ける「地上戦」とはいったい何なのか……戦後の沖縄文化史、そして日本漫画史におけるミッシング・ピースとも言うべき新里の人生とその作品を通じて問い直す特別企画。
【毎週月曜更新】
新里堅進(しんざと・けんしん)
1946年、沖縄県那覇市壺屋生まれ。高校生のころ、沖縄戦に動員された少年兵の記録を読んだことで、沖縄戦を描くために漫画家を志す。タクシー運転手、セールスマン、米軍施設のガードマンなど職を転々としながら、一九七八年『沖縄決戦』で漫画家デビュー。以降、細かな取材と聞き取りを重ねながら『水筒 ひめゆり学徒隊戦記』『白梅の碑』など沖縄戦を題材にした作品や、沖縄の文化・歴史に関する作品を多数執筆。数多の漫画家がリスペクトしてやまない驚異的な画力や構図はすべて独学で磨き、現在も人知れず土地の歴史の深層に分け入りながら精力的に新作を描き続ける、孤高の作家である。
X公式:https://x.com/1946_kenshin
藤井誠二(ふじい・せいじ)
1965年、愛知県名古屋市生まれ。ノンフィクション作家。少年犯罪や被害者遺族救済などを関心領域とする。2000年代初頭から那覇と東京の二拠点生活を続ける。沖縄関連の単著では『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』(講談社)、『誰も書かなかった玉城デニーの青春』(光文社)、二拠点生活日記シリーズ『沖縄の街で暮らして教わったたくさんのことがら』『沖縄でも暮らす』『沖縄では海を見ない』(すべて論創社)。ほか共著多数。
X:https://x.com/seijifujii1965
安東嵩史(あんどう・たかふみ)
1981年、大分県大分市生まれ。編集者、女子美術大学非常勤講師(構想と倫理)。日本人の海外移民、アメリカ中西部のメキシコ系住民など、近代における人間や境界の移動とその結果生じる文化事象への興味をもとに活動し、沖縄には2001年以降通っている。沖縄に関する近年の仕事は宮沢和史『沖縄のことを聞かせてください』(双葉社、2022年)、「越境広場」沖縄美術特集にて映像作家・山城知佳子との対話など。トーチwebにて「国境線上の蟹」不定期連載。『ソウル・サーチン』編者。
X:https://x.com/ADTKFM